医療従事者向け

適正使用情報

副作用とその対策

過敏性肺臓炎
11.1
重大な副作用
11.1.1
過敏性肺臓炎(2.7%)
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、過敏性肺臓炎に関連する有害事象が対照群に比べ高い頻度で認められました(3.1% vs. 0.9%)。
過敏性肺臓炎に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人における過敏性肺臓炎に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)日本人安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
2
対策
  • 過敏性肺臓炎は発症初期に酸素飽和濃度やKL-6のモニタリングなど、適切な患者管理を行うことが必要と考えられます。
  • 過敏性肺臓炎があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行ってください。
参考
医薬品による間質性肺炎(肺臓炎、胞隔炎、肺線維症)の一般的な症状と治療1)
医薬品による間質性肺炎は時に死亡に至る場合もあり、早期発見と早期対応が極めて重要となります。抗菌薬では一般的に薬剤投与から1~2週間で発症する場合が多いとされますが、実際には発症までの期間には幅がみられます。
症状:
咳(特に乾性咳嗽)、息切れ、発熱など。発疹を伴うこともあります。
予防:
間質性肺炎を疑う症状がみられたら、直ちに血液検査(CRPなどの炎症所見、KL-6、SP-Dなどの間質性肺炎の血清マーカー)、胸部X線検査(又はCT検査)、動脈血酸素飽和度などの検査を行い、必要に応じて感染症等との鑑別のため気管支鏡検査を実施します。
治療:
まず原因と推測される薬剤を中止し、改善しない場合や呼吸不全を呈する場合は、副腎皮質ステロイド投与を考慮します。
気管支痙攣
11.1
重大な副作用
11.1.2
気管支痙攣(21.5%)
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、気管支痙攣に関連する有害事象が対照群に比べ高頻度で認められました(29.1% vs. 11.6%)。
気管支痙攣に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人における気管支痙攣に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)日本人安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
第8脳神経障害
11.1
重大な副作用
11.1.3
第8脳神経障害(15.1%)めまい、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがある。
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、めまい、耳鳴、難聴などの聴器毒性に関連する有害事象が対照群に比べ高い頻度で認められました(18.4% vs. 10.7%)。Grade 3以上の事象は認められませんでした。
聴器毒性に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人における聴器毒性に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)日本人安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
2
対策
  • 本剤による治療中は、聴覚又は前庭機能障害が既知又は疑われる患者及び本剤の血中濃度が高くなるおそれがある患者(腎機能障害患者、高齢者、長期間投与患者等)では、聴力検査を実施し綿密にモニタリングすることが望まれます。
  • 聴器毒性が発現した場合は、本剤を中止する可能性を含め、適切な処置を行ってください。
参考
難聴の一般的な症状と治療2,3)
アミノグリコシド系抗菌薬による難聴は内耳性ですが、多くが不可逆で一旦難聴をきたすと回復は困難であり、患者の生活の質(Quality of Life; QOL)が大きく低下します。一定の累積投与量により発現することが多いとされますが、患者によって少量や少ない投与回数で難聴をきたす場合もあります。
症状:
めまい、耳鳴、会話の聞き返し/聞き落とし。
予防:
アミノグリコシド系抗菌薬による難聴はミトコンドリア遺伝子1555A→G変異、及びミトコンドリア遺伝子1494C→T変異と関連があることが分かっており、アミノグリコシド系抗菌薬による難聴者が血縁者にいる場合にはミトコンドリア遺伝子変異の有無を検査し、薬物カードを配付して予防に努めることが重要です。
治療:
薬剤の投与を中止します。
急性腎障害
11.1
重大な副作用
11.1.4
急性腎障害(3.2%)
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、本剤投与群の2.2%、対照群の3.6%に腎毒性に関連する有害事象が認められました。いずれの群においてもGrade 3以上の事象は認められませんでした。
腎毒性に関連する有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人安全性解析対象集団における腎毒性に関連する有害事象の発現は認められませんでした。
2
対策
  • 腎機能障害が既知又は疑われる患者に本剤を投与する場合には、綿密なモニタリングを行ってください。
ショック、アナフィラキシー
11.1
重大な副作用
11.1.5
ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、日本人患者1例にショックの有害事象が発現しました。
ショックの有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人におけるショックの有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)日本人安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
2
対策
  • 事前に既往歴等について十分な問診を行い、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認してください。
  • 本剤の初回投与時に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備を行い、また、投与開始直後は注意深く観察してください。
初期症状として、不快感、口内異常感、喘鳴、めまい、便意、耳鳴、発汗等があらわれることがあるため、これらの症状に十分に注意してください。
発声障害
1
臨床試験における発現状況
本剤の国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)では、本剤投与群で46.6%に発声障害の有害事象が発現しました。このうち、Grade 3以上の発声障害は4例(1.8%)に認められました。
発声障害の有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
日本人における発声障害の有害事象の発現状況:国際共同第Ⅲ相試験(CONVERT試験)日本人安全性解析対象集団
MedDRA/J Ver.19.1
n(%)
2
対策
  • 吸入後のうがいを徹底するよう、患者に指導ください。
  • 海外では、トローチをなめる、吸入後のうがい、吸入時間を夜に変更することで改善がみられたという報告があります4)
その他の副作用
11.2 その他の副作用
REFERENCES
  1. 厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル 間質性肺炎(肺臓炎、胞隔炎、肺線維症) 平成18年11月(令和元年9月改定)』
  2. 厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル 難聴(アミノグリコシド系抗菌薬、白金製剤、サリチル酸剤、ループ利尿剤による) 平成22年3月(令和4年2月改定)』
  3. 日本結核病学会 編. 非結核性抗酸菌症診療マニュアル. 医学書院, 2015.
  4. Swenson C, et al.: Open Forum Infect Dis. 2020; 7(4): ofaa079.
    【利益相反】本試験はインスメッドからの資金提供等による支援を受けた。
ntmnavi